ECNやSTPといった名称は比較の出発点にはなりますが、約定の全体像までは示しません。EAにとって重要なのは、価格がどのように作られ、注文がどこで処理され、銘柄にどの約定モードが設定され、要求価格が利用できないときに何が起こるかです。
Market Maker・STP・ECN・DMAとは
Market Makerは、約定方針に基づいて顧客向け価格を提示し、取引の相手方になる場合があります。STPは通常、注文を複数の外部流動性供給先へ自動で送る仕組みを指します。ECNは参加者の売買価格と数量を集約する電子ネットワーク、DMAは外部市場やオーダーブックへの直接アクセスを表す言葉です。ただし、個人向けFXでは使い方が統一されていないため、広告上の名称よりも口座規約と約定方針を確認してください。
| 名称 | 一般的な考え方 | EA利用者が確認する点 |
|---|---|---|
| Market Maker | ブローカーが顧客価格を提示し、注文を内部処理する場合がある。 | リクオート、スプレッド、ストップ条件、利益相反の説明。 |
| STP | 選択された流動性供給先へ注文を自動送信する。 | ルーティングの一貫性、上乗せ幅、拒否時の処理。 |
| ECN | 複数参加者の価格と数量を集約する。 | 手数料、最小数量、部分約定、提示価格での板の厚さ。 |
| DMA | 定められた規則で外部市場や板へアクセスする。 | 対象商品、注文方式、約定ポリシー、last lookの有無。 |
名称が魅力的でも、スプレッドや拒否、約定価格が不安定ならEAに適しません。透明なコストと安定した処理を実測して比較します。
ブローカーモデルとMT4の約定モードを分けて考える
MT4ではInstant Execution、Request Execution、Market Executionなどが銘柄ごとに設定されます。これは端末とサーバーが成行注文をどう処理するかを示すもので、ブローカーがECNやSTPである証明ではありません。Instant Executionでは要求価格が消えるとリクオートが発生することがあります。Market Executionでは、送信時の表示価格と異なるサーバー上の利用可能価格で約定する場合があります。
銘柄仕様では、変動・固定スプレッド、Digits、契約サイズ、Stops Level、ロット刻み、最大数量、スワップ、取引時間も確認します。EAのロジックが正しくても、ブローカー側の条件が違えばInvalid StopsやInvalid Volumeが発生します。
約定品質は名称ではなく数値で評価する
EAが実際に動く時間帯から十分な件数を集め、要求価格、約定価格、処理全体の時間、拒否、リクオート、部分約定、エントリー時のスプレッドを記録します。通常時、ロールオーバー、重要指標、薄商いを分けてください。1回の速い約定だけでは一貫性を判断できません。
有利・不利な差を分け、平均だけで判断しません。
新規、決済、変更の失敗を別々に数えます。
VPSのpingだけでなく注文処理全体を測ります。
影響の大きさは戦略ごとに異なります。H4では小さな差でも、短期スキャルピングでは損益を左右します。Gridや複数注文型では、同時発注時の流動性と必要証拠金も重要です。
EAとブローカーの互換性チェック
規制、顧客資金の保護、出金条件は、契約する法人と居住地域に応じて別途確認が必要です。技術的に動作することと、資金を預ける相手として適切であることは別の問題です。
ライブ運用前に条件をそろえて比較する
- ライブで使うEA版、銘柄、時間足、設定をそのまま使用します。
- リスクを固定し、同じ時間帯で口座を比較します。
- 画面写真だけでなくExperts、Journal、口座履歴を保存します。
- 要求価格と約定価格、スプレッド、手数料、スワップ、変更エラーを比較します。
- 静かな相場と速い相場を含む件数を集めます。
- ライブ移行時は小さく始め、実際の約定がテスト範囲内か確認します。
極端に有利なデモ配信だけに合わせてEAを最適化しないでください。目的は最高の一例ではなく、戦略が耐えられる安定条件を探すことです。
公式資料
MetaTrader公式ヘルプでは、注文の実行手順と、気配値表示・銘柄仕様にあるブローカー設定項目を確認できます。ブローカー自身の約定方針と併せて読みます。