ローソク足の名前は、同じ定義を共有していれば便利な略称です。小さな実体を予測とみなしたり、実体の包み足をアウトサイドバーと取り違えたり、後の値動きを過去の判断にひそかに加えたりすると混乱が生じます。このガイドでは定義を明示し、架空の価格を使って、形の認識と文脈・検証を区別します。クラスターの二つ目のガイドです。基本構造に不慣れな場合は、先にOHLCとBid/Askの読み方を確認してください。
1. 形・文脈・売買ルールを区別する
形は、観測した価格同士の関係です。文脈は、直前の値動きや事前に定めた価格水準など、その時点で利用可能だった情報との関係を表します。売買ルールにはさらに、いつ判断し、どのように売買を開始・終了し、どれだけのエクスポージャーを許容し、コストをどう扱うかが必要です。パターン名を付けても、これらのルールは決まりません。
銘柄、BidかAskか、時間足、データ提供元を明示した通常のOHLCを使います。平均足などの計算された足では入力値が変わります。色は設定で変えられるため、方向は始値と終値で判断します。ヒゲだけでは、特定の参加者、注文フロー、ストップ狩りの存在は確認できません。解釈を加える前に、測定できる事実を記録します。
2. 名前を付ける前に足を測る
Rを高値から安値を引いた値、Bを終値と始値の差の絶対値、Uを上ヒゲ、Dを下ヒゲとします。上ヒゲは高値から始値と終値の大きい方を引き、下ヒゲは始値と終値の小さい方から安値を引いて求めます。有効なOHLCではR = B + U + Dです。価格の単位はpipとpip価値のガイドで確認してください。これらの距離は金額ベースの利益を測るものではありません。
定義は著者や検出ツールによって異なります。ここでは、十字線の抽出条件を、値幅が正でB / Rが10%以下とします。カラカサ型は、実体の大きさが正、DがBの2倍以上、UがBの0.5倍以下です。このように閾値を定めるのは例を再現できるようにするためで、普遍的に正しい閾値を主張するためではありません。値幅がゼロならB / Rを計算しません。実体がゼロならヒゲをBで割らず、このカラカサ比率による分類も行いません。
3. 十字線:始値と終値の近さは予測ではない
十字線は、選んだ許容幅の範囲内で始値と終値が等しい、またはほぼ等しい足です。実体が小さくても、値幅全体は大きい場合があります。よく使われる「迷い」という言葉は始値と終値の関係の解釈であり、買い手と売り手の人数を測った結果ではありません。十字線の種類はヒゲの配置の違いを表します。名前だけでは、売買を始める方向も信頼できる確率も決まりません。
EURUSDのBid価格例はO 1.10000、H 1.10060、L 1.09940、C 1.10005です。pip幅0.0001では実体が0.5 pip、値幅が12 pipsとなり、B / Rは約4.17%なので、明示した10%の条件を満たします。終値は始値よりわずかに高いものの、それだけでBUYシグナルにはなりません。小数点以下の桁数や最小価格変動幅は、小さな実体の検出に影響します。
4. カラカサ型:長い下ヒゲを持つ形
実体が値幅の上側に位置し、下ヒゲが比較的長い形です。伝統的な用語では、カラカサは先行する下落の文脈で考えます。陽線であることは、この形の必須条件ではありません。「小さい」の意味、ヒゲの比率、直前の状況の条件を明示し、見栄えのよい画像だけで判断しないようにします。
O 1.10080、H 1.10110、L 1.10020、C 1.10100では、実体は2 pips、下ヒゲは6 pips、上ヒゲは1 pip、値幅全体は9 pipsです。下ヒゲは実体の3倍、上ヒゲは0.5倍です。この形は抽出条件を満たします。ただし、それだけでは先行する下降トレンド、支持線、反転、実行可能な売買の存在は確認できません。
5. 同じ形でも直前の状況で解釈が変わる
この長い下ヒゲの形は、下落後ならカラカサの候補、上昇後なら伝統的には首吊り線と呼ばれます。方向感のないレンジでは、どちらの反転名称も適切でない場合があります。文脈の図では意図的に同じ足を使い、将来の上昇や下落を描いていません。伝統的な名前は検討すべき記述であり、すでに観測された将来の結果ではありません。
直前のトレンドや支持線・抵抗線は、候補の足が確定する前に利用可能だった情報だけで定義します。テストでは参照期間と時間足を明示します。成功例に合うよう後から水準を引くと、後知恵が入り込みます。足の大きさも直近の値動きと比べてください。目立つ形でも、スプレッドや通常の変動幅に比べればごく小さい可能性があります。
6. 包み足:何を包む必要があるかを明示する
このガイドの強気の実体包み足では、前の実体が陰線、現在の実体が陽線です。現在の始値は前の終値以下、現在の終値は前の始値以上とします。少なくとも一方の境界は、前の実体を厳密に越える必要があります。したがって一方の境界の一致は認めますが、実体の両端が完全に同じ逆向きの足は除外します。この定義では、ヒゲまで包む必要はありません。
弱気の包み足では、陽線の実体に陰線の実体が続きます。現在の始値は前の終値以上、現在の終値は前の始値以下で、少なくとも一方は厳密に外側へ伸びる必要があります。他の定義では、より厳しい不等号、窓、値幅全体の包含を求めることがあります。検出前に使う定義を記録します。株式市場の窓の例を、連続的に提示されるFXの価格データへ自動的に当てはめないでください。
7. 存在しない窓を加えずに包み足の例を読む
表は、pip幅0.0001の架空の隣接するBid足です。前の実体は8 pips、現在の実体は9 pipsです。現在の始値1.10020は前の終値に一致し、現在の終値1.10110は前の始値1.10100を上回っています。したがって始値の窓がなくても、実体を包むというこのガイドの条件を満たします。これらの価格だけでは直前のトレンドは分かりません。
| 足 | 始値 (O) | 高値 (H) | 安値 (L) | 終値 (C) |
|---|---|---|---|---|
| 前の陰線 | 1.10100 | 1.10140 | 1.09980 | 1.10020 |
| 現在の陽線 | 1.10020 | 1.10120 | 1.10000 | 1.10110 |
前の高値1.10140は現在の高値1.10120より高く、前の安値1.09980は現在の安値1.10000より低くなっています。実体は前の実体を包んでいますが、現在の値幅全体は前の値幅の内側にあります。実体の包み足とアウトサイドバーは異なる条件です。どちらの名前も、反転や利益の出るエントリーを証明しません。
8. 価格データと約定を区別する
通常のMT4のFX足はBidに基づきます。パターンを検出しても、過去のAskの推移や約定の保証は得られません。通常の取り扱いでは、BUYはAskで開始してBidで終了し、SELLはBidで開始してAskで終了します。小さな足の動きを経済的な優位性の可能性として扱う前に、スプレッドなどのコストを確認してください。
データ、セッションの区切り、欠落した気配値により、提供元が違えば形も変わることがあります。過去の窓は実際の価格の不連続かもしれませんし、調査すべきデータの問題かもしれません。データと時刻を保存します。検出ツールが欠損や無効なOHLCを拒否した場合は、その状態を残し、黙って「パターンなし」と分類しないでください。
9. 確認の情報が分かるのは後になる
MT4ではshift 0は現在形成中の足、shift 1はその系列で直近の確定足です。形成中の十字線や包み足の実体は、足が終わるまでに消える場合があります。後の足の終値による確認は、その後の足が確定して初めて分かります。その情報を、前の足の時点で利用可能だったかのように付け加えないでください。
確認は追加の条件であり、保証ではありません。後の値動きを待つルールなら、判断時刻とその時点で実際に利用できた価格を記録します。確認が失敗した例や見逃した機会もテストに含めます。同じ価格から計算した指標を複数加えても、それだけで独立した証拠にはなりません。許容損失額とポジションのリスクはパターン名と分けて扱います。
10. 選んだ画像ではなく完全な定義を検証する
テスト前に、価格の提供元、銘柄、時間足、パターンの不等式、等値の扱い、トレンドの文脈、水準の作り方、判断時点を固定します。結果の定義と観測期間を定め、コストと条件を満たす全事例を含めます。損失、曖昧な事例、欠損記録も見える形で残します。説得力のある例だけを集めるのではなく、バックテストの手順に従ってください。
閾値の選択に使わなかったデータでルールを評価し、試した変種の数を報告します。パターン数の多さ、反転率、魅力的なチャートだけでは、コスト控除後の売買利益は確認できません。結果はエントリー、決済、ポジション量、コスト、標本の不確実性に左右されます。このガイドの数値例は形だけを検証するものです。売買成績を調べた研究でも、これらの形で取引することの推奨でもありません。
任意:このガイドで使う厳密な作業用定義
R = H - L
B = abs(C - O)
U = H - max(O, C)
D = min(O, C) - L
doji: R > 0 && B / R <= 0.10
hammer_shape: B > 0 && D >= 2 * B && U <= 0.5 * B
bull_body: C1 < O1 && C2 > O2 && O2 <= C1 && C2 >= O1 && (O2 < C1 || C2 > O1)
bear_body: C1 > O1 && C2 < O2 && O2 >= C1 && C2 <= O1 && (O2 > C1 || C2 < O1)
11. ローソク足パターンに関する質問
十字線の10%という閾値は普遍的な定義ですか?
いいえ。これらの例で明示した許容幅です。著者や検出ツールにより、絶対値や比率の許容幅は異なります。テスト前に自分の定義を記録し、値幅ゼロを明示的に処理し、後からチャートに合わせて変えないでください。
カラカサの実体は緑色でなければなりませんか?
いいえ。実体の方向は始値と終値で決まり、色は変更できます。長い下ヒゲと実体の位置が形を表します。伝統的なカラカサと首吊り線の解釈は直前の状況で区別されますが、どちらも反転を保証しません。
包み足はヒゲも包む必要がありますか?
このガイドの実体だけを対象とする定義では不要です。計算例では前の実体を包む一方、値幅全体は前の値幅の内側にあります。他の定義には別の要件があります。すべてのパターン名を同じものと扱わず、どの定義を使うかを指定してください。
確認の足があればパターンは信頼できますか?
後の時点で観測可能な条件が追加されます。その条件が特定のルールをコスト控除後に改善するかどうかは、別途テストする問題です。方向を保証するものではなく、形成前から分かっていた情報として使うこともできません。
12. 出典と対象範囲
一次資料:伝統的な形と文脈を解説するIG Academy、Fidelityが公開する資料に記載されたBulkowskiの実体包み足の定義、上昇局面の弱気の包み足に関するSchwabの解説、MetaQuotesの時系列インデックス、MT4チャートの価格基準。確認日:2026-10-19。株式市場の研究や記述的なパターン名は、FXの成績推定ではありません。例の閾値、価格、計算は、説明のために設定したものです。
FXとレバレッジ取引には大きなリスクがあります。本資料は学習用であり、投資助言ではありません。パターン名、追加の確認、正しい計算があっても、約定、損失の限定、利益は保証されません。