モメンタム・ダイバージェンスとは、選択した価格の波と指標の動きが一致しない状態です。難しいのは、どの波を採用し、いつ観測可能になったと判断するかです。完成したチャート上では説得力のある線でも、当時は利用できなかった情報を含む場合があります。このガイドでは選択条件と時点を明確にします。
1. 何を比較するかを定義する
このガイドでは価格ピボットに対応させる方式を使います。まず価格のピボットを特定し、同じ足のRSIを読み取ります。読み取ったRSI自体が独立したピボットである必要はありません。価格と指標のピボットを別々に検出して組み合わせる方式は別の定義であり、対応付ける時間幅と各ピボットの確定時点を定める必要があります。
銘柄、価格配信元、時間足、適用価格、指標設定を固定してください。測定内容はモメンタム指標ガイドで説明しています。ここでは、既に利用可能だった情報だけで、定義した波の比較を再現できるかに焦点を絞ります。
3. 線を引く前にピボット条件を固定する
計算例の安値ピボットでは、対象足のBid安値が、直前の2本と直後の2本の安値をすべて下回ることを条件にします。高値ピボットでは比較を逆にします。五本すべてが確定している必要があります。比較する安値に候補足と同値があれば、その安値候補は不採用です。高値にも対応する条件を適用します。
時系列順の添字で安値条件を表すと、Low(k) < min(Low(k−2), Low(k−1), Low(k+1), Low(k+2))です。足k+2が完成し、データが利用可能になってから判定できます。これはこのガイド独自の厳密な条件であり、各プラットフォームのFractals指標が同値を同じように扱うという意味ではありません。
4. 結果に合わせずピボットを組み合わせる
この例では、時系列順に連続する確定済み価格安値ピボットを比較します。新しい安値ピボットが確定するたびに、その直前の確定済み安値ピボットと比較します。離れた組のほうが見栄えのよいダイバージェンスになるからといって、間のピボットを飛ばしてはいけません。この例には距離フィルターも買われ過ぎ・売られ過ぎの条件も加えていません。
選んだ各価格ピボットで確定足のRSIを読み取り、元の時刻情報を保存します。片方でも値が取得できなければ、その比較を見送り、理由を記録してください。ゼロに置き換えたり、都合のよい値を過去から探したりしません。組み合わせの条件は定義の一部であり、自由に調整できるチャートの装飾ではありません。
5. 架空のH1データを再現する
このEURUSDのBid足は教材用の架空データです。共通の仮定したサーバー時刻を使い、足の終了時刻を表示しています。RSIはClose、期間5、ワイルダー平滑化を使います。短い期間は計算を追いやすくするためで、推奨設定ではありません。注文、約定、口座リターンはシミュレーションしていません。
| H1足の終了時刻 | Bid始値 | Bid高値 | Bid安値 | Bid終値 |
|---|---|---|---|---|
01:00 | 1.10500 | 1.10530 | 1.10470 | 1.10500 |
02:00 | 1.10500 | 1.10630 | 1.10470 | 1.10600 |
03:00 | 1.10600 | 1.10630 | 1.10520 | 1.10550 |
04:00 | 1.10550 | 1.10630 | 1.10520 | 1.10600 |
05:00 | 1.10600 | 1.10630 | 1.10420 | 1.10450 |
06:00 | 1.10450 | 1.10480 | 1.10370 | 1.10400 |
07:00 | 1.10400 | 1.10430 | 1.10270 | 1.10300 |
08:00 | 1.10300 | 1.10330 | 1.10150 | 1.10200 |
09:00 | 1.10200 | 1.10330 | 1.10180 | 1.10300 |
10:00 | 1.10300 | 1.10430 | 1.10270 | 1.10400 |
11:00 | 1.10400 | 1.10480 | 1.10370 | 1.10450 |
12:00 | 1.10450 | 1.10480 | 1.10370 | 1.10400 |
13:00 | 1.10400 | 1.10430 | 1.10320 | 1.10350 |
14:00 | 1.10350 | 1.10380 | 1.10220 | 1.10250 |
15:00 | 1.10250 | 1.10280 | 1.10130 | 1.10180 |
16:00 | 1.10180 | 1.10310 | 1.10160 | 1.10280 |
17:00 | 1.10280 | 1.10380 | 1.10250 | 1.10350 |
18:00 | 1.10350 | 1.10380 | 1.10070 | 1.10100 |
平滑化する上昇幅Gと下落幅の絶対値Lの初期値には、最初の5回の終値変化の算術平均を使います。06:00でG = 0.0003、L = 0.0005、RSIは37.5です。その後はnew average = (4 × previous average + new value) / 5とRSI = 100 − 100 / (1 + G/L)を使います。途中で丸めず、表示するRSIのみ小数6桁にします。
6. 二つのピボットと確定時点を追う
| ピボット足の終了時刻 | ピボットのBid安値 | RSI(5) | 判定可能になる終了時刻 |
|---|---|---|---|
08:00 | 1.10150 | 22.018349 | 10:00 |
15:00 | 1.10130 | 26.313217 | 17:00 |
安値は1.10150から1.10130へ下がり、対応するRSIは22.018349から26.313217へ上がります。この二つは、定義した条件による連続した確定済み安値ピボットです。その関係は通常型・強気ダイバージェンスの定義を満たします。同じ足でRSI自体が独立した局所安値を形成したと主張する必要はありません。
15:00の時点では、二つ目のピボットはまだ候補です。16:00と17:00に終わる足が、右側の判定材料になります。比較できるのは、完成したデータがそろう17:00以降です。売買に使えるシグナルを15:00に置くと、未来の情報を持ち込むことになります。
7. 確定時点をMT4の足に対応させる
17:00–18:00の足が始まりデータが利用可能になると、MT4のシフト0は形成中、シフト1は終了直後の足、15:00に終わるピボット足はシフト3になります。右側の二本はここで確定しています。これはその瞬間の対応関係であり、新しい足が来るたびにシフトは変わります。
MT4の足のタイムスタンプは開始時刻を表します。終了時刻15:00で表示したピボットは14:00–15:00の足なので、開始タイムスタンプは14:00です。ピボット足を特定する情報と確定イベントの両方を保存してください。評価は終了後の最初の利用可能な更新で行い、正時ぴったりの約定を前提にしません。
8. 確定した観測でも予測が外れることはある
次に示す18:00終了の足の安値は1.10070で、二つ目のピボットを下回ります。先の強気の比較は過去の観測として有効なままですが、さらなる安値更新を防いではいません。この例からエントリー、決済、利益についての結論は導けません。
未確定の候補は、右側の足がその極値を超えると消える場合があります。履歴が変わらなければ、この固定条件で確定したピボットは、後続足が増えても移動する必要はありません。その後の安値更新でも過去のピボットは消えません。候補の取り消し、観測の確定、戦略で別に定義する無効化は、異なるイベントとして記録します。
9. 指標の計算構造を踏まえる
Stochastic、RSI、ROCが同じピボットで価格とダイバージェンスを示すとは限りません。それぞれの計算式と平滑化条件を固定してください。Stochasticが横ばいの場合やRSIが同値の場合は、厳密な不等号を満たしません。オシレーターを変えたり、足の安値から終値のピボットに変えたりすると、別の仕様になります。
強いトレンドでは、持続的な反転が起こる前にダイバージェンスが繰り返し観測されることがあります。複数のオシレーターは価格データを共有するため、一致しても独立した根拠が増えたとは限りません。当時利用可能だった情報でトレンドやレンジの環境を定義し、それを加えることでコスト控除後の手法全体が改善するかを検証します。
10. 観測と売買手法を分けて定義する
手法には、確定後のエントリー条件、有効期限、無効化条件、保護ストップ、決済、エクスポージャー上限が必要です。Bidに基づく観測でもBidで買えるとは限りません。Ask、スプレッド、窓開け、スリッページが約定に影響します。ポジション量とポートフォリオリスクの確認は別に行います。RSI戦略の枠組みは明示的なルールの例であり、このダイバージェンス定義の有効性を裏付けるものではありません。
11. イベント順序を検証してから結果を評価する
確定足を一本ずつ追加してデータを再生してください。候補時刻、確定時刻、二つの価格極値、二つの指標値、組の識別情報、不採用理由を記録します。再起動後も同じイベントを再構築できることを確認します。EAでは安定したイベントIDを使い、注文状態と照合して、繰り返すティックや再接続で重複エントリーしないようにします。
同値の価格、指標値の欠損、サンプル末尾の未確定ピボット、繰り返すシグナル、続伸・続落するトレンドを検証に含めます。結果を見る前に、ピボット幅、組み合わせ、指標設定、約定ルールを固定してください。試したすべての仕様を記録し、後の期間を評価用に残します。条件を管理したMT4バックテストに、その後の新しいデータでの観測を組み合わせます。チャート例だけでは収益性も成功率も証明できません。
12. ダイバージェンスの確認項目
- 価格極値、指標の入力、ピボット幅、不等号の厳密さ、組み合わせ条件を明示します。
- 価格ピボットに対応させた指標値と、独立して確定したオシレーターピボットを区別します。
- 各ピボットの発生時点と、判定可能になった時点を記録します。
- 取り消した候補と確定した観測は別のイベント状態で管理します。
- 各判断時点で利用可能なデータを使い、約定、決済、リスクを含む手法全体を評価します。
13. モメンタム・ダイバージェンスのよくある質問
ダイバージェンスが出れば必ず反転しますか?
いいえ。選択した条件の下での関係を示しているだけです。架空の例のように、価格が同じ方向へ進み続けることもあります。売買に使う反転条件とリスク上限には、別の定義と検証が必要です。
RSI自体もピボットを作る必要がありますか?
このガイドの価格に対応させる方式では必要ありません。確定した価格ピボット足のRSIを読み取ります。独立したオシレーターピボットを使う方式では対応付けと時点の条件を明示する必要があり、異なる観測になる場合があります。
なぜ右側の足を待つのですか?
選んだピボット定義に必要だからです。足が完成するまでは候補が不採用になる可能性があります。完成チャートの過去のピボット位置にマークがあっても、その時点で利用できたとは限りません。
もっと離れたピボットを選んでもよいですか?
結果を調べる前に条件を定めている場合に限ります。この例では連続した確定済みピボットを使います。線がきれいになるという理由で古い点を選ぶと、手法が変わり、後知恵バイアスが入り得ます。
隠れ型は通常型より強いのですか?
名称は価格と指標の異なる関係を表すもので、信頼度の順位ではありません。どちらを比較する場合も、設定、環境、コスト、リスク、評価データをそろえる必要があります。
ダイバージェンス指標はリペイントしますか?
アルゴリズム、候補の表示方法、データ修正によります。履歴が変わらなければ、厳密な条件で確定したピボットは固定できますが、未完成の候補は変わり得ます。アラートがいつ出るか、イベント履歴が保存されるかを確認してください。
14. 公式説明と採用した定義を確認する
公式のMetaTrader 4 RSIリファレンスではダイバージェンスを紹介しています。このガイドの厳密なピボット、価格に対応させた読み取り、組み合わせ、架空データの初期値は、教材として明示的に選んだ定義です。プラットフォームの収益性を主張するものでも、実際の端末の全履歴を再現するものでもありません。
FXとレバレッジ取引には大きなリスクがあります。このガイドは学習用であり、投資助言ではありません。過去またはシミュレーションの結果は将来の運用成績を保証しません。